
この度、すきゾ!グループでは、とある研究機関とオープンダイアローグに関する研究への協力をすることになった。
趣旨としては、すきゾ!と協力しながら、対話的支援の価値を丁寧に見つめていく取り組みだ。
オープンダイアローグとは、フィンランド・西ラップランド地方にあるケロプダス病院のスタッフたちを中心に、1980年代から開発と実践が続けられてきた精神病に対する治療的介入とケアの技法になります。
クライアント(相談に来た人のこと)からの依頼を受けてすぐ「専門家チーム」が結成され、クライアントの自宅を訪問し、クライアント、および、そのほか関係者(医師や看護師、臨床心理士など)が車座になって座り、家族療法などの技法を応用した「開かれた対話」を行うことで、薬物治療や入院治療をほとんど行うことなく、きわめて良好な治療成績を上げており、近年国際的にも注目されつつあります。
統合失調症のケア技法として発展してきましたが、オープンダイアローグは医療現場だけではなく、福祉や教育などの現場でも応用可能です。
僕自身、オープンダイアローグには、大きな可能性があると感じている。
今の日本の医療、とりわけ精神医療の現場には、医師が上に立ち、患者がそれに従うという構造が、まだ強く残っているように思う。もちろん、献身的に患者へ向き合っている医師も多くいる。しかし制度や慣習の中で、「診る側」と「診られる側」という境界は、知らず知らずのうちに固定されてしまう。
その関係性の中では、本当の意味で信頼を築くことが難しいことがある。人は、自分の苦しみを単なる症状として扱われた瞬間に、静かに心を閉ざしてしまう。特に心の問題を抱えた者は敏感で、相手が一人の人間として対等に向き合っているのか、それとも“患者”という枠組みの中だけで見ているのかを、言葉より先に感じ取ってしまう。
オープンダイアローグの良さは、その上下関係をできるだけ取り払おうとするところにあるのだと思う。医師や支援者が絶対的な正解を持つのではなく、本人や家族を含めた対話の場の中で、共に言葉を探していく。その姿勢には、「治してあげる」という一方向の関係ではなく、「共に在る」という感覚がある。
人は、自分の言葉を否定されずに受け止められたとき、初めて少しずつ安心して語り始めるのだと思う。そして、その対話の積み重ねの中でしか回復できないものが、確かに存在しているように感じる。
この研究への協力が、そうした対話の価値を日本の精神医療の中へ少しずつ根づかせ、精神疾患をめぐる閉塞した状況を変えていくための、小さくとも確かな一歩となれば嬉しく思う。



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